今回はピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)について。
ル・コルビュジエの陰に隠れ、あまり目立つ存在ではなかったピエール・ジャンヌレ。ただ、2016年にル・コルビュジエの建築群がユネスコの世界遺産に登録されたこともあり、インド・チャンディーガル(Chandigarh)の都市計画が再び脚光を浴びてます。
そのインド・チャンディーガルで活躍したのが従兄弟のピエール・ジャンヌレで、昨今はヴィンテージ家具の人気が凄いことになってます。
そのピエール・ジャンヌレについて今回は詳しく紹介したいと思います。
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ピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)とは
1896年 スイス・ジュネーブ生まれの建築家。
1920年 オーギュスト・ペレの事務所に勤務。
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1922年 従兄弟のル・コルビュジエと事務所を設立。
1927年 シャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand)が事務所に入所し、コルビュジェと3人でLCシリーズの家具を手掛ける。
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ペリアンについてはこちらも。
→シャルロット・ペリアン好き必見!生い立ちや名作家具について
1940年代 第二次世界大戦が勃発するとル・コルビュジエはヴィシー政権を支持、ジャンヌレはレジスタンス運動に参加したため、二人は袂を分かつことに。
1951年 インドのパンジャブ地方にあるチャンディーガル(Chandigarh)の都市計画でル・コルビュジエと再び一緒に仕事をすることに。ジャンヌレはチーフアーキテクトとして指揮をとる。その後14年間滞在。
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1965年 病気のため、インドを離れる。
1967年 死去。
代表作
チェア・ソファ
PJ-SI-28-A
1955-56年にキャピトルコンプレックス(高等裁判所・行政庁舎・議会棟)のためにデザイン。コンパスレッグと呼ばれるV字型の脚のデザインが特徴的なチェア。背もたれの浮遊感もいい感じです。ジャンヌレと言えば、この椅子を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
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PJ-SI-28-B
先ほどのものは背もたれと座面が離れていましたが、こちらは座面と繋がっているので、よりしっかりとした印象。
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PJ-SI-28-D
これも似ているが、座面と背もたれの接合している場所がやや異なる。
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PJ-SI-29-A
1955年頃にデザインされたラウンジタイプ。最初に紹介したPJ-SI-28-Aとこの椅子は比較的よく見かけます。どれか迷ったらますはこの椅子を手に入れましょう。
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PJ-SI-59-A
1955年にデザイン。カンガルーチェア(Kangaroo chair)と呼ばれています。とても特徴的なデザインですね。
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PJ-SI-32-A/PJ-SI-32-B
1950年代半ばにデザインしており、キャピトル・コンプレックスの高等裁判所で多く使用されていたチェア。これまでの籐張りのものとは違い重厚感がありますね。
アームチェアが32-A、ソファタイプは32-B 。
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LC/PJ-SI-42-A
1955年頃のデザインでこちらも高等裁判所のためにデザイン。先ほど紹介したもものと脚のデザインがやや異なる。
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PJ-SI-30-D
1953-54頃、裁判所等のためにデザイン。
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PJ-SI-30-C
先ほどの椅子よりさらに背もたれを低くしたタイプ。
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PJ-SI-36-A/PJ-SI-36-B
1955年頃にパンジャブ大学のためにデザイン。先ほど紹介した2つに比べるとやや優しい印象。このロータイプな感じ、好きです。
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PJ-SI-49-A
1960-61年にTagore theaterのためにデザインしたと思われるアームチェア。
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PJ-SI-26-A
1960年、パンジャブ大学のためにデザインしたライティングチェア(Writing Chair)です。実際、勉強するには使いにくそうですけどね。笑
普段使いなら飲み物置いたりできるので、便利そうですが。
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PJ-SI-51-A
1959-60年頃のデザイン。ライブラリーチェア(Library Chair)とも呼ばれており、パンジャブ大学の図書館やチャンディーガルの裁判所で使用。
一見折りたたみ椅子ののようにも見えますが、折りたたむことはできません。
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PJ-SI-54-P
1960年頃にデザイン。畳摺りのデザインは日本の和室で使用してもいいですね。
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ベンチ・スツール
PJ-SI-33-A
1955-56年、パンジャブ州議会議員の宿泊施設「M.L.Aホステル」のためにデザインしたベンチ。これ、カッコよすぎませんか。。
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PJ-SI-21-C
1965-66年にパンジャブ大学の科学ブロックのためにデザインしたスツール。プルーヴェの匂いがプンプンしますね。
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シザーチェア
これまでに紹介したのはチャンディーガルのためにデザインしたものでしたが、こちらは全く別物。1948年にアメリカのKnoll(ノル)から「Model 92」として発表。これ、大好きです。いつかは欲しいな。
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テーブル・デスク
LC/PJ-TAT-14-A
1963-64年にル・コルビュジエと共にデザイン。キャピトル・コンプレックスの立法議会棟で使用。カッシーナで復刻されており、天板はガラス・オーク・チークから選択可。この脚、カッコいいですね!
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PJ-BU-14-A
1957-58年頃に様々な行政施設のためにデザインしたデスク。こんなデスクで仕事できたらいいな。。
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PJ-BU-02-A
1957-58年、行政庁舎のためにデザインしたデスク。
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PJ-TA-12-A
1960年頃に行政庁舎のためにデザイン。子ども用のデスクはこれでもいいかも。
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PJ-TB-05-A
19060年にデザインしたコンパスレッグが特徴的なガラステーブル。
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シェルフ・キャビネット等
PJ-R-??
パンジャブ大学の図書館のためにデザインしたシェルフ。
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PJ-R-27-B
1957-58年頃、行政庁舎などのためにデザインしたシェルフ。シンプルなんですけど、脚先にちょっと一工夫。
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PJ-R-11A
1950年代半ばにデザインした小さめのキャビネット。Vレッグ・コンパスレッグが良い感じ。
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PJ-DIVERS-01
1957-58年のデザイン。3枚のパネルからなるパーテーション。
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その他
PJ-R-23-A
1955年頃にデザインしたチェスト。いいですね、この感じ。この手のものなら李朝家具のトンケやパンタジもおすすめですよ。
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PJ-BU-09-A
1960年頃にデザインしたコーヒーテーブルとしても使用できるベッド。こういうのが空間の中にポツンとあるだけでカッコいいでしょうね。
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ジャンヌレの家具を販売しているショップ
ピエール・ジャンヌレの家具を販売しているショップをまとめてます。
ぜひ参考にしてください!
ちなみにチャンディーガルのためにデザインしたジャンヌレの家具の特長といえば、何と言っても白で書かれた暗号のような文字。これはどこで使用されていたかを証明するもので、入っているとより価値が高いです。
稀に楽天市場に出品されていることもあります。
おすすめの本
いくつかおすすめの本を紹介したいと思います。
おわりに
いかがでしたか。
チャンディーガルのためにデザインしたジャンヌレの家具って、どこか温かみがありますよね。インドで1つ1つ手仕事で作られていたことも大きく影響していそうですね。日本の民藝などとも相性はよさそうですし、ベニワレンやトライバルラグなどとあわせても素敵ですね。
ファントムハンズの復刻やカッシーナでの復刻などもありますので、今後ますます目が離せませんね。粗悪なリプロダクトも横行しているようですので、購入される際は慎重に。
それでは、今日はこのあたりで。
ジャンヌレについてはこちらでもまとめてます。
一緒に家具をデザインしたシャルロット・ペリアンもお忘れなく!