今回は李朝家具について。
民藝に興味を持つようになってから、ずっと気になっていた家具があります。日本民藝館の創設者・柳宗悦や白洲正子なども愛した李朝の家具です。
李朝家具とは
李朝家具とは、李王家が君臨した朝鮮王朝時代に作られた調度類のことです。
本当は、「朝鮮王朝時代の家具」と呼ぶのが正しいのですが、骨董の世界では、戦前から「李朝家具」の名で親しまれてきました。
李家・朝鮮の略が「李朝」というわけですね。
李王家は1392年~1910年の約500年もの間、朝鮮半島を支配していました。約500年となるとさすがに長いですね。日本では平安時代や江戸時代ですら300年もないですから。
朝鮮王朝では高級官僚・両班(ヤンバン)が行政を支えており、このヤンバンの文化に李朝家具は強い影響を受けています。ヤンバンは儒教の教えもあり、学問にはげみますが、その中で必然的に増えるのが、書物や読み書きをする筆や紙など。
李朝家具はそれらをしまうために作られた家具が多いのも特徴の1つです。
代表的な家具
それでは代表的な家具をいくつか紹介したいと思います。
膳
膳は小さなものを小盤(ソバン)といい、大きいものを床といいます。
小盤(ソバン)にはさらに虎足盤・狗足盤などの種類があります。
虎足盤(ホジョクバン)
動物(虎)の脚のよう外に向いたものを「虎足盤(ホジョクバン・コソクバン)」
と呼びます。
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狗足盤(クジョクバン)
脚が内側にカーブしているのが狗足盤(クジョクバン・クソクバン)です。
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円盤(ウォンバン)
円筒形の形をしたのが円盤(ウォンバン)
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これらの小盤(ソバン)は一般の人たちも多く使用していたため、李朝家具の中では比較的安価です。
椅子座がメインになってきた現在でも、たまには床に座ってくつろぐのもいいですね。
そんな時にはリビングテーブルではなく、持ち運びも楽な小盤(ソバン)がいいですね。縁側があれば、これで一杯なんていうのも素敵です。
卓子(タクチャ・タクジャ・タクシ)
日本では飾り棚として使用されることが多いですが、当時は本棚として使用されていました。
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接合部の細かな部分の作りが良いのも李朝家具の特長。
また、韓国では昔からオンドルという床暖房が一般的なので、脚付きのデザインが多いのも特徴の1つです。
半閉櫃(バンダジ・パンタジ)
衣類や寝具などを収納するためのもの。
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バンが半分、ダジが閉まるという意味で、上半分が手前に開くようになってます。中は仕切りがありませんので、上にモノを飾って使われている方も多いです。
玄関先にちょっと置いてもお洒落ですね。
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古いモノ(中古)特有の金具の感じも素敵です。
銭函(トンケ)
銭函とは銭箱とも書きますので、金品などをしまう箱・金庫のことです。
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天板の前半分が開くものが多いです。
薬箪笥(ヤクジャン)
薬箪笥は何と言っても引き出しの多さが特徴。
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実際使うとなると、どこに何入れたかわからなくなりそう…
モリジャン
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書案(ソアン)
読み書きをしたりするときの机。
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李朝家具が購入できるお店
李朝家具を購入できるお店をいくつか紹介したと思います。
土木土木
東京の世田谷区砧にある土木土木(どきどき)は李朝の家具や調度品や国内の作家の器などを扱われてます。
大江戸骨董市などにも出店されてます。
土木土木
梨洞
東京の南青山にある梨洞(りどう)は1972年にオープンした老舗。
川口美術
京都市左京区にある韓国の骨董をメインに販売しているお店。
良質なパンダジを探しているなら必ずチェックしましょう。
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川口美術
歩いて10分ほどのところにある「李朝喫茶・李青」もぜひ行きましょう。料理はもちろん素敵な李朝家具を楽しめますよ。
李朝家具の學工房
大阪市にある李朝家具のお店。
李朝家具だけでなく、古い李朝家具をアレンジしたものやオリジナルなども手掛けられています。
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李朝家具の學工房
http://www1.odn.ne.jp/~cbx79520/
李朝家具を堪能できるところ
日本民藝館
創設者・柳宗悦は李朝を愛してやまない人でした。多くの李朝のものがあります。
ぜひ一緒に見ていただきたいのが、柳宗悦が生前住んでいた西館。
西館は第2・3の水・土のみ公開ですのでお忘れなく。
日本民藝館
浅川伯教・巧兄弟資料館
山梨県北杜市高根町にある同町出身の浅川伯教・巧兄弟の資料館。
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浅川伯教・巧兄弟資料館
https://asakawabrothers.blogspot.com
弟の浅川巧は兄・伯教の影響で韓国に渡り、林業試験場で研究開発に努める傍ら、李の木工品を多く集めました。
「道 白磁の人」は浅川巧の生涯を史実を基にした映画です。柳宗悦も登場しますし、当時の雰囲気なども楽しめるのでおすすめです。
武相荘
東京・町田市にある白洲次郎と正子夫妻の住まいで、現在は記念館として一般公開されています。
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武相荘
松本民芸家具との繋がり
松本民芸家具の始まりには柳宗悦が深く関わっており、実際に木工の指導に当たった富山民藝館創設者の安川慶一が持ってきた李朝家具がベースとしてあります。言われてみたら、どことなく似た雰囲気があるものもありますね。
今回は日本民藝館の創設者で柳宗理の父でもある柳宗悦やバーナード・リーチとも深い関わりがある松本民芸家具について。[caption id="" align="aligncenter" width="1024"] 松本民芸館にて。[/c[…]
おわりに
素敵ですよね、李朝家具。
まだまだ、私には手を出すのが早いかな。いや、李朝家具を手元に置くことでそこからヤンバンの力をいただくのもありかな。
結局は使わないと本当の良さってわからないですしね。またまた欲しいものが増えて、何から手を付けていいのやら…インテリアは奥が深すぎる…
日本民藝館や武相荘にも俄然行きたくなってきた…困ったな…
民藝についてはこちらにまとめてますので、あわせてどうぞ。