2023年4月1日(土) ~ 2023年4月24日(月)に伊勢丹新宿のイセタン ザ・スペースで開催されていた「WOMEN DESIGN IN MODERN」に行ってきました。
WOMEN DESIGN IN MODERN
Aino Marsio-Aalto(アイノ・マルシオ・アアルト)、Charlotte Perriand(シャルロット・ペリアン)、Lina Bo Bardi(リナ・ボ・バルディ)など、モダンデザインを形成してきた女性にスポットを当てた展示販売会。
「Gallery CASA DE」、「Objet dʼ art」、「SNORK- MODERN AND CONTEMPORARY」が作品を提供。
初めて見るような貴重な作品が多数あり、大興奮の展示会でした。
— とりあえず家具@インテリアブロガー (@kagu_isu) May 5, 2023
アイノ・マルシオ・アアルト(Aino Marsio-Aalto)
アルヴァ・アアルトの妻「アイノ・マルシオ・アアルト」
1894年、フィンランド・ヘルシンキ生まれ。
こちらはアイノがマイレア邸のプロジェクト期間にデザインしたガーデントロリー。現在でもマイレア邸の庭に白が2脚置かれています。
アアルトと言えばパイミオのサナトリウムが有名ですが、その家具やインテリアは妻のアイノが担当したと言われています。
パイミオでの一連の作品が評価され、Artek(アルテック)設立へと繋がります。
この照明、素敵だなと思って聞いたら、ビックリするような値段でした…
非常に数が少なく、なかなか手に入れるのが難しいようです。
子ども用のベッド、かわいい…
アイノの作品はどこか愛嬌あって、優しい雰囲気が素敵ですよね。
この椅子もアイノのデザイン。教えてもらうまで、アイノとは気づきませんでした…
テーブルはペリアン。
この椅子、アアルトのパイミオの系統の1つかと思いましたが違いました。
Maija Heikinheimo(マイヤ・ヘイキンヘイモ)がデザイン。
アイノは54歳という若さで亡くなりますが、もし長生きしていたらどんな作品を遺していたんでしょうかね。
きっとすばらしい名作をデザインしていたことでしょう。
シャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand)
1903年、フランス・パリ生まれのシャルロット・ペリアン。
コルビュジェのアトリエにて勤務後、1940年に輸出工芸指導顧問として来日。日本全国を柳宗理の案内で約7ヵ月かけて回り、数々のデザインを行います。
このソファ(ベンチ)も日本の影響を感じますね。
こちらは桂離宮の違い棚をヒントにデザインしたとも言われています。
アフリカの Cansado のプロジェクトの際に先ほどのソファなどとデザインされたキャビネット。
写真が切れていますが、左端にあるのは天童木工から現在も販売されている田辺麗子さんがデザインしたムライスツール。
ペリアンの人気の椅子の1つ「Meribel Chair(メリベルチェア)」
ぽってりとした丸みのあるデザインが愛らしい印象を与えます。
Lea Arcs(レザルク)スキーリゾートのためにデザインされたテーブルやスツール。
牧歌的なデザインは愛らしく、温かみがありますね。
これ、かわいい…
アイノ・アアルトとも通ずる部分があるような…
ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレとの共作、LC7(スウィベルチェア)やLC1(スリングチェア)は、ペリアン初期のデザイン。
モダンな雰囲気は、後年のレザルクシリーズなどと同じ人物がデザインしたとは思えませんね。
剣持勇や渡辺力、柳宗理、松村勝男など、前後の日本デザイン界に多大な影響を与えたペリアンの功績は計り知れません。
ペリアンについてはこちらでも詳しく紹介してます。
今回はフランス・パリのルイ・ヴィトン財団の美術館での没後20年を記念した大回顧展が記憶に新しいシャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand)について紹介したいと思います。世界で最初のインテリアデザイナーとも言われるシ[…]
リナ・ボ・バルディ(Lina Bo Bardi)
1914年、イタリア・ローマ生まれのリナ・ボ・バルディ。
ジオ・ポンティのもとでキャリアを積み、1951年に竣工したブラジルの自邸・ガラスの家と共にデザインした「Bola Chair(ボラ・チェア)」
4脚並んでいる椅子は、リナ・ボ・バルディと Marcelo Ferraz(マルセロ・フェハス)、Marcelo Suzuki(マルセロ・スズキ)が共同でデザイン。
現在も復刻・販売されています。
手前に映っているのがサルバドールでの一連の プロジェクトのためにデザインされた「Girafa Chair & Table(ジラフチェア&テーブル)」
一目で名前の意味が分かりますね。
こちらはローテーブル。
ジャン・プルーヴェのゲリドンバスにも通ずるようなデザイン。
リナ・ボ・バルディと言えば、昨今人気のブラジルデザイン特集でよく目にするので、ブラジルの人と思ってましたが違いましたね。
ジオ・ポンティのところでキャリアをスタートしていることも恥ずかしながら知りませんでした…
まとめ
彼女たちが活躍したのは、女性が一線で活躍するのが決して容易ではない時代。
そんな時代にもかかわらず、数々の名作を遺し、多くの影響を与えた彼女たちの功績は計り知れません。
生まれも約10年ずつ違うので、お互いに影響を与え、切磋琢磨していたことでしょう。
「WOMEN DESIGN IN MODERN」は、名作の数々が勢揃いしたすばらしい展示会でした。