東京・六本木にある 21_21 DESIGN SIGHT で開催されている「The Original」展に行ってきました。
展覧会のディレクター土田貴宏さん、企画原案の深澤直人さんと企画協力の田代かおるさんによって選定された椅子や照明、雑貨類が約150点も並ぶということで期待が膨らみます。
深く考えすぎず、ただ目の前にあるものをじっと眺め、そのモノが放つオーラやエネルギーを感じ取れればと思います。
「The Original」
21_21 DESIGN SIGHTに到着。安藤忠雄建築。
「The Original」展、俄然テンションが上がります…
サインもいい感じ。
早速中へ入ります…
受付を済ませ、階段を下ります…
見えてきました…
入るとまず Piero Lissoni(ピエロ・リッソーニ)のソファが出迎えてくれます。
岐阜提灯をベースに Isamu Noguchi(イサム・ノグチ)がデザインした AKARI(アカリ)は、日本だけでなく、世界でも大人気ですね。
ジャパニーズモダンを代表するアイテムの1つ。
今回展示されているアイテムをカテゴリー別にパネルで紹介。
Gallery1
会場はギャラリー1と2の構成。
さらにギャラリー1は2つの部屋で構成されており、1つはイタリアのミッドセンチュリーの家具や照明が展示されていました。
Mario Bellini(マリオ・ベリーニ)のソファに LINA BO BARDI(リナ・ボ・バルディ)のチェア、壁にはデンマークのKvadrat(クヴァドラ)の Hallingdal(ハリンダル)。
リナ・ボ・バルディはブラジル特集でよく目にするので、ブラジルの方かと思ってましたがイタリア生まれだったんですね、知りませんでした…
もう1つの部屋には様々な国のデザイナーのアイテムたちが展示されていました。
Charlotte Perriand(シャルロット・ペリアン)のチェアに Eero Saarinen(エーロ・サーリネン)のチューリップテーブル、Miguel Mila(ミゲル・ミラ)の照明。
テイストはバラバラですが、違和感なくうまく調和していますね。
他にもデンマークのHAY(ヘイ)のキャビネットやVerner Panton(ヴァーナー・パントン)の名作照明 Panthella(パンテラ)なども。
Gallery2
続いてギャラリー2へ…
こちらでは部屋ごとではなく、時系列順に多くの商品が展示されていました。
最初に目に入ってきたのは、THONET(トーネット)の椅子「No.14」
曲木やノックダウンを駆使し、大量生産を実現させたトーネットの功績は計り知れません。
いつかは手に入れたい名作椅子の1つ。
テディベアもありました。かわいい…
Marcel Breuer(マルセル・ブロイヤー)のチェスカチェアと Mart Stam(マルト・スタム)の S33は、バウハウスを象徴するカンティレバー(片持ち構造)の椅子として有名ですね。
片持ち構造については、どちらの発明かで裁判になり、スタムが勝ちますが、今知れ渡っているのはブロイヤーの椅子。
裁判ではスタムが勝ったとしても、椅子そのものとしてはブロイヤーが一枚上手だったということでしょうか。
Eileen Gray(アイリーン・グレイ)と言えば、このアジャスタブルテーブルが有名ですね。
あのル・コルビュジエが認めた女性建築家。認めるどころかその才能を嫉妬して、ちょっといたずらをしたり…
こちらの映画で描かれています。冒頭の衝撃のオークションシーンは必見。
アイリーン・グレイの謎に包まれた生涯を研究者や関係者などのインタビューで解き明かすドキュメンタリー映画もおすすめ。
Braun(ブラウン)で数多くのデザインを手がけた Dieter Rams(ディーター・ラムス)の Vitsoe(ヴィツゥ)のシェルフ。
ディーター・ラムスらしい一切の無駄をそぎ落とした凛としたたたずまいが美しい…
元アップルのiPhoneなどを手がけたジョナサン・アイブもディーター・ラムスを敬愛しています。
デンマークのレゴブロックもありました。
確かにこれに勝るブロックは存在しませんね。
Bauhaus(バウハウス)といえば、Wilhelm Wagenfeld(ヴィルヘルム・ワーゲンフェルト)も重要ですね。
数々のガラスの美しい製品をデザインしてますが、このソルト&ペッパーもそのうちの一つ。
シンプルですが、こういうのが食卓にサラッと置かれていると様になりますね。
DANSK(ダンスク)の鍋や CHEMEX(ケメックス)なども。
Enzo Mari(エンツォ・マーリ)がデザインした積み木「16アニマリ」は、16もの動物が1枚の板を切り抜いて製作されています。
1つひとつが単体であると、まさか1枚の板からできているとは到底思えないデザインなので、それもビジュアルとして見せてほしかったな…
Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)がデザインしたベースにEmeco(エメコ)の椅子。
チャールズ・レイ・イームズのレッグスプリント(添え木)は兵士の脚のギプス。
今はオブジェとしてコレクションしている人も多い人気のアイテム。
この時の成形合板(プライウッド)の技術が後の椅子のデザインに活かされています。
個人的に今回の展示で一番目を惹いたのがこちら。
Warren Platner(ウォーレン・プラットナー)のテーブル、Nanna Ditzel(ナナ・ディッツェル)のハンギングチェア、Patricia Urquiola & Eliana Gerotto(パトリシア・ウルキオラ & エリアナ・ジェロット)の照明の展示。
影のシルエットも含め、すべてが美しすぎました…
FRANCO ALBINI(フランコ・アルビニ)のLUISA(ルイーザ)は、一見すると普通の椅子とそう違わないように見えますが、接合部が太くなっていたり、脚先に膨らみがあったりと、よく見ると随所にこだわりを感じます。
倉俣史朗のオバQのフォルム、かわいすぎますね。
Enzo Mari(エンツォ・マーリ)のゴミ箱 IN_ATTESA(インアテッサ)を見ると、ゴミを投げ入れたくなります…
この企画展では椅子が多かったのも特徴の1つで、椅子好きとしては嬉しい構成でした。
ジョージ・ナカシマのグラスシートチェアや剣持勇のラタンチェア、Bruno Ray(ブルーノ・レイ)のチェア。
Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)がキャリア初期にデザインした椅子「Thinking Man’s Chair(シンキングマンズ チェア)」や Mario Botta(マリオ・ボッタ)のセコンダ 、内田繁のセプテンバーなどもありました。
現在、最も勢いがあるデザイナーの1人と言っても過言ではないデザイナー「Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)」無印良品やマルニ木工などでデザインしていることもあり、日本とも深い関わりがあります。今回はそのジャ[…]
最近はポストモダンの勢いが増してきており、再評価されているのは嬉しいですね。
今回のメインビジュアルにも使用されている ROLY POLY(ローリーポーリー)は丸っこいフォルムが何とも言えないかわいらしさ。
デザインした Faye Toogood(フェイ トゥーグッド)の作品はリミテッドエディションのものが多い中、ドリアデがポリエチレンを採用しリーズナブルな価格にしました。
ゆるやかに配置されている品々に見とれながら回り続けます…
Piet Hein(ピート・ハイン)、Bruno Mathsson(ブルーノ・マットソン)、Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)のトリプルネームと言えば、スーパー楕円シリーズ・Bテーブル。
Pierre Jeanneret(ピエール・ジャンヌレ)の椅子もありました。
ジャンヌレの家具は、カッシーナからオマージュとして出ていたり、ファントムハンズから復刻もされてます。さらに粗悪なリプロダクトも数多く存在しているので、オリジナルとは何かを考えるには良いアイテムですね。
Ingo Maurer(インゴ・マウラー)の照明 Lucellino(ルーチェリーノ)は今にも飛んでいきそうな独創的なデザイン。
こういうのをうまく使いこなせるセンスある人になりたい…無理か…
Naef(ネフ)の積み木やカロリーメイトにポストイットまで。
柳宗理のキッチンアイテム。
私も使用してますが、シンプルながらも柳宗理特有の曲線美が魅力的で、何よりも使いやすい。まだ使っていない方はぜひ。
吉岡徳仁がデザインした ToFU(トーフ)は、2000年にデザインされたヤマギワとの初のコラボレーション作品。
幻想的な灯りが他にはない唯一無二の照明。
Konstantin Grcic(コンスタンチン・グルチッチ)がデザインした照明「Mayday(メイデイ)」は置いてよし、持ってよし、引っ掛けてよしとマルチに活躍する万能照明。
深澤直人デザインのヒロシマチェアはアップルパークに数千脚導入されたという椅子。
近年の日本を代表する椅子と言っても過言ではないでしょう。
スーパーノーマル展、これは見ておきたかった…
中庭には、 Willy Guhl(ウィリー・グール)がデザインしたコンクリート一体成型の Swisspearl Loop Chair(スイスパール・ループチェア)が置かれており、みなさん思い思いに座って楽しまれていたのが印象的でした。
座るのを躊躇するようなデザインで私も恐る恐る座りましたが、見た目以上に座り心地はいい椅子でした。
Walter Gropius(ワルター・グロピウス)や Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)がデザインしたドアノブもありましたが、個人的にこれが一番好きでした。
直線と曲線のバランスが美しい…
デザインしたのはスーパーレジェーラなどが有名な Gio Ponti(ジオ・ポンティ)
最後にオリジナルの解説。
まとめ
いかがでしたか。
「The Original」展を見て、改めてオリジナルについて考えるいい機会になりました。
最近は簡単にコピーができるので、似たようなモノ、それっぽいモノを簡単に作ることができます。
このような時代だからこそ、オリジナルが持つ価値や意味というのがますます重要になっていくことでしょう。
ぜひ自分の目で見て、自分なりのオリジナルの解釈をしてみてはいかがですか。
美しいプロダクトがたくさんあるので、見て回るだけでも十分楽しめますよ。
趣旨とは異なりますが、展示されている数々を見ていると物欲が刺激されますのでご注意を…
「The Original」
会場 21_21 DESIGN SIGHT
会期 2023年3月3日(金)~6月25日(日)
休館日 火曜
開館時間 10:00~19:00(入場は18:30まで)
名作椅子や照明が好きならぜひこちらも。
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