こんな素晴らしい本が発売される日が来るとは…
北欧ヴィンテージ家具ファンなら必ず見てほしい本「名作椅子の解体新書」が発売されました。見ないと損しますよ。
名作椅子の解体新書
「見えない部分にこそ技術がある。名作たる理由が、分解する、剥がす、組み立てる、張り替えることで見えてくる!」
この「名作椅子の解体新書」は名作椅子を丸裸にして、隅々まで調べ尽くすという超絶マニアック本です。
もうこれを聞いただけで興奮してゾクゾクしてきませんか?私は俄然鼻息が荒くなりました…
ハンス・J・ウェグナー(Hans J Wegner)やフィン・ユール(Finn Juhl)、アルネ・ヤコブセン(Anre Jacobsen)などの椅子18脚を解体し組立、座の張り替えなどの工程を写真入りで詳細に紹介。
そして、この本では3つのポイントに着目し、解体や修復の工程を通して紹介されてます。
- どのような技術が駆使されているか(接手、仕口、強度の持たせ方、デザインを生かすための工夫、外見からではわからない細部での工夫など)
- 素材(木材や金具の種類、張地や座編みの材料等)
- 経年変化によって生じる現象
なかなかマニアックですよね。北欧ヴィンテージ家具好きにはたまりませんよ。
まだまだ素晴らしい点はあります。約1000点もの写真が掲載されていることです。1000点ですよ1000点…。
私はこの「名作椅子の解体新書」が発売されると知った時に迷うことなく買おうと決めました。なぜなら、これまでは張替えなどの紹介があったとしても、「北欧スタイル」などの雑誌に見開き2ページ程度、長くても数ページの特集で終わることが一般的でした。それはそれで十分楽しかったですが。
ただ、今回は18脚の椅子・208ページというボリュームですし、1000点以上もの写真。しかもその写真はよく見るような名作椅子の写真ではなく、実際に解体した時の接合部や張替えの時の昔の馬毛があったり、籐の張替えなどなかなか見ることができない貴重な写真の数々です。
もう見るしかないですよ、見たらわかりますこの本の素晴らしさが。
私は予約購入して、届いてすぐ読みましたが、あまりにも面白くて一気に読んでしまいました。活字が苦手な人にもおすすめ。写真が多いので飽きずに見ることができますよ。
解体・張替えられる名作椅子
それでは、実際にどのような名作チェアが取り上げられているか紹介したいと思います。
ハンス・J・ウェグナー(Hans J Wegner)
ウェグナーの作品が一番多く、ザチェア(The Chair)、Yチェア/CH24(Y Chair)、ベアチェア(Bear Chair)、JH504、CH23の5脚。
ザチェア(JH501)の初期作品ではフィンガージョイントではなく、継手が使われている話は有名ですが、その継手部分を籐で巻いて隠していたところの貴重な写真が何枚もあります。あと、JH501の座枠の前後に渡って取り付けられたアーチ状の貫(つっかい棒)の話などなかなかマニアック。
フィン・ユール(Finn Juhl)
次いで多いのが、玄人好みのフィン・ユール。No.45、No.46、No.48の3脚。
家具職人ではないフィン・ユールだからこそ思いつくデザインとそれを具現化するニールス・ボッダー(Niels Vodder)の黄金タッグが生み出した椅子は解体した時も美しい。
当時の椅子にはウレタンではなく天然素材が使われているのも一目でわかります。繊維状の麻や馬毛は天日干しした後にほぐし直して再利用されていますが、天然繊維の素晴らしさを改めて実感。
No.48を実際に剥がしてみてわかった、その前に修復した人の腕の良さや手抜きなどがよくわかるのも面白い。あと、アームの割れを補修したり背のフレームを固定させる部品を新たに新調したりしているが、ただ古いものそのままが1番と言うわけではなく、現代に合わせる工夫も改めて大事だなと感じた。
実際に剥がしてみて接合部分が割れていた入りと程度が悪いこともあるので、ヴィンテージを買うってある意味冒険。信頼できるところから購入するのが1番良いですね。
アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)
エッグチェア(Egg Chair)、セブンチェア(Series 7 Chair)の2脚。
エッグチェアはレザーの張替え。ウレタンを剥がしている写真は圧巻。セブンチェアは割れが入ったシェルの脚を付け替えてます。個人的には割れが入ったシェルを真っ二つに割っている画像が衝撃的でした。シェルを割る、そしてその詳細をアップで撮る。知らない人が見ると何やってるんだろうと言う感じでしょうが、マニアにとってはたまらない。
他にも…
・No.77 (ニールス・オット・モラー)
・スーパーレジェーラ (ジオ・ポンティ)
・エヴァ ブルーノ・マットソン〕
・FD130 (ピーター・ヴィッッ&オルラ・モルゴー・ニールセン)
・サファリチェア(コーア・クリント)
・シエスタ〔イングマール・レリング〕
・MKチェア〔モーエンス・コッホ〕
・ペーパーコード編み折り畳み椅子
という豪華ラインナップです。
北欧家具ではないですが、スーパーレジェーラはなぜあそこまで細く軽く作れるのが疑問だったので、解体した接合部を実際に見ることができ大満足。
神は細部に宿ると言いますが、椅子を解体、修復することで椅子本来の美しさを垣間見たような気がします。
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おわりに
この本が刺さる人はどれぐらいいるのだろうか…
決して多くはないかもしれませんが、好きな人にとってはたまらない1冊。いろんな椅子を解体していく様を見るのはとても清々しい気持ちになります。普通では見られないようなものを見られるこの上ない幸福感。
久しぶりに興奮する1冊に出会えたことに感謝。間違いなく2020年読んだ中で最高の1冊。疲れたらこの本を読んでパワーをもらおうかな。みなさんもこの本で英気を養いましょう!