今回紹介するのはメキシコが誇る現代建築の巨匠、ルイス・バラガンが手掛けた自邸で初めて行われたナイトツアーの様子です。
なんと日本語字幕付きで前編後編あわせて約60分の貴重な動画です。ツアーは通常は日中ですが、今回無料公開されているのはナイトツアーなので夜です。
「光の魔術師」の本領発揮ですよ。これはインテリアが好きならぜひ見てほしい。
ルイス・バラガンとは
まずはルイス・バラガンについて。
ルイス・バラガン(Luis Barragan)は建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞したメキシコを代表する建築家。
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1902年ハリスコ州生まれ。グアダラハラの工科大学で水力工学を学んだ後、独学で建築とデザインを学び、86歳まで建築家として活躍しました。
白を基調とする建物にメキシコらしいピンクや黄色、オレンジなどを大胆に取り入れ、「光」と「水」を緻密に計算して取り込んだバラガン建築は、その独特な世界観と圧倒的な迫力で訪れた者を魅了します。
ルイス・バラガン邸
「ルイス・バラガン邸」はメキシコシティ郊外のタクバヤに1948年に建てられました。アトリエも併設しており、それぞれに玄関はありますが内部で繋がっています。
2004年にはユネスコの世界文化遺産に登録されており、メキシコ国内だけでなく世界中に多くのファンがいます。
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この建物の特徴は何といっても色彩でしょう。強い日差しが差し込むことを考慮してピンクやオレンジ、黄色などを空間に融合させています。
光が生み出す陰影がたまりません。「光の魔術師」と言われる理由がわかりますね。
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美しいですよね、うっとりします…
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階段の感じも素敵ですね。
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ルイス・バラガン邸の特長の1つに大開口の十字のサッシがあります。
熱心なキリスト教信者だったルイス・バラガンが十字架をサッシで表現するあたりはさすが。
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このサッシから影響を受けたと言われているのが安藤忠雄さんがデザインした「光の教会」です。
十字架と光。これまた美しい。
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ここのためにデザインしたのではないかと思うほど融合しているヨゼフ・アルバース(Josef Albers)のアートがあまりにも美しすぎてビックリ。
アルバースが俄然欲しくなりますね。
ルイス・バラガン邸は外光をうまく取り入れたり、フロアランプやデスクランプ、クランプ式のデスクライトがあり、光の演出が見事。
ちなみにルイス・バラガンが日本人の影響を受けているのを知ってますか?谷崎潤一郎の陰翳礼讃(いんえいらいさん)です。
日本人は暗闇に美を感じることなど、彼は東洋の考え方に価値を見出していました。
ルイス・バラガン邸や他の建築を見るとわかりますが、光に対して人一倍こだわりをもったルイス・バラガンが谷崎潤一郎からインスピレーションを受けていたというのは日本人としては誇らしいですね。
よくルイス・バラガン邸には天井照明がないと言われますが、部屋と部屋をつなぐ通路にはあります。
ただそれは頭上にあるわけではなく壁の上部に付けてあるというこだわり。(厳密には小部屋に天井照明がありますが…。)
あと、廊下にあるちょっとした電球も素敵です。必要最低限の光。
必要なところに必要なものを最小限で置く考えというのが良いですよね。自分もそうありたい…
ナイトツアー日本語字幕付き
だいぶ前置きが長くなりましたね。
それではナイトツアーの動画をどうぞ!
いかがでしたか。前編とありますが、後編はまだ公開されていないようです。いつになるんですかね。公開されましたら改めて紹介しますね。
後編も追加されました。
おわりに
彼は理論や推論より実際に自分が見てどう感じるかと多くの実験をこなしました。
ただ居心地が良い空間を作るために試行錯誤を続け、数々の名作を遺しています。
ヒラルディ邸やオルテガ邸、トゥラルパンの礼拝堂、サン・クリストバルの厩舎などなど。
メキシコに行きたいな…けど遠いな…
そんなあなたには下記2冊の本をおすすめして、今回は終わりたいと思います。読み終わるとさらに行きたくなりますよ…
メキシコ繋がりでエキパルチェアもどうぞ。
人間国宝の芹沢銈介、柚木沙弥郎さん、ハーマンミラーでイームズや・ジョージ・ネルソンと共に活躍したアレキサンダー・ジラルドも愛用しました。
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